「Andean Corn」
(アルゼンチンのプレジディオとうもろこし)
について

スローフード協会発行のパンフレット






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「とうもろこしを口に入れるための1,000通りの方法」
(訳:森田里絵)
 
 とうもろこしは、何千年も前に南米の中部で生まれました。現在、世界でもっとも食べられている穀物の1つです。特に、アルゼンチンの北部のカタマルカ州では、いまだにさまざまな古いトウモロコシの品種が残っています。「カピア」(やや赤いか白い丸い実)や「ブランコ クリオロ」(大きくて丸い実)、「アマリオ ソコッロ」(大きくて黄色い実で、時に白い筋が入る)、「モロッチョ」(丸い実)、「アマリオ デ オチョ」(大きくて黄色い丸い実)、そして「チャルピ」(幅広い平らな実)などです。これらの原始的なトウモロコシの品種は、主として小規模の自家消費用に栽培されています。アンデス山脈のトウモロコシ農家は、「ムル−プル アラドス デ パロス」プラウのような古い道具を使って、伝統的な方法で耕しています。カタマルシア州では、トウモロコシはおおむねコショウ、ジャガイモやハーブなどのとなりに植えられます。タネは10月の最初の日に手でまかれ、4月には収穫の準備に入ります。食べる準備をする前に、トウモロコシは穂軸の皮を剥いて実を取り外し、完全に乾燥させなければなりません。手で行うには非常に困難な作業です。そして、「プレシディウム」(最高会議幹部会)は、農業者が実を取り外す作業を簡単に出来るように設備投資を行いました。「カピア」の品種の中には簡単に砕ける柔らかい粒があるので、そのトウモロコシの穂軸をまず水と石灰で焼き、次に皮をむいて、日なたで乾燥します。トウモロコシは、ジャガイモとともに、地元住民の主食となっているのです。アンデス山脈の伝統的な食文化は、これらの作物の生物多様性を保護する際に重要な役割を果たしました。それぞれの品種は、地方の料理と祭礼で重要な役割を担っており、料理人はいくつかの品種を使ってさまざまな料理をつくることができます。「カピア」は「トルティーヤ」や、「チチンテャス」(このこってりした料理は、7月25日のサンサンチアゴの祭りで供されます)、「カピアス」(小麦粉、砂糖、卵、シナモン、ラードでつくられたデザート)などをつくるのに使われます。「アマリオ コーン」は、有名な「チチャ デ メイズ」というカーニバルのような特別なときにたくさん飲んで酔っ払うアルコール飲料をつくるのに使われています。そして「ブランコ クリオロ」は「マザモッラ」という植民地時代にさかのぼるデザートをつくるのに使われます。

 プレシディオ
 農村地域の耕作放棄、水の不足、およびF1ハイブリッド品種の台頭によって、アンデス山脈のトウモロコシの品種は危機的な状況になっており、「プレシディウム」は、これらの傾向を解消するために取り組んでいます。この「プレシディウム」は、ブエノスアイレス大学の農学部の助手として40年間アンデス山脈のトウモロコシの品種を研究し分類した農学研究家のファン アントニオ カセレスの功績を記念して設立されました。「プレシディウム」は、味覚や農業的な質の高さから、「アマリオ ソッコロ」、「カピア」、「ブランコ クリオロ」の3つを重点品種としています。ヒューゴ セトランゴロとカセレスをリーダーとするスローフードコンヴィヴィウムのコーディネートにより、「プレシディウム」は数年でめざましい結果を出しました。今では、アルゼンチンのアンデス山脈トウモロコシ生産協会が質の向上につとめ、トウモロコシの殻をとる新しい生産ラインを導入しています。農学者で料理人のマユ バシガルポの助力により、協会は伝統的なトウモロコシのレシピを復元しているところです。北部ブエノスアイレス・スローフード・コンヴィヴィウムの取り組みにより、「プレシディウム」の生産物は、地域のレストランで使われるように販売促進されています。

生産者:アルゼンチンのアンデス山脈トウモロコシ生産協会として15の家族経営農家が連携。
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