スローフード岩手岩泉ツアー

2011.2.20-21
岩手県岩泉町)

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1. 今回の総会後のフレンズツアーは、待ち焦がれていた岩手岩泉への旅です。まずは田野畑村で山地酪農を営む熊谷隆幸さん、宗矩さんを訪ねました。隆幸さんは昭和40年代にこの山地酪農に出会い、この方法ならこの土地でも酪農ができると衝撃を受けてはじめられたそうです。今は宗矩さんが経営を継いでいます。
2. 山地酪農とは、 猶原恭爾(なおはら きょうじ)博士が提唱した持続可能な酪農です。山に植えた日本古来の芝を牛(ホルスタイン)が食べ、牛は20年も生き、年間の乳量は年間2500〜3000リットル。生まれたときから山を歩き健康な牛に育ちます。http://yamachi.jp/
3. 熊谷さんと一緒に山地酪農に取り組んでいる吉塚公雄さん家族。26歳のとき、山地酪農ができる場所を3年がかりで探して、この田野畑にたどりついたそうです。健康で幸せな牛の牛乳、そして新たに取り組んでいるヨーグルト、最高でした。奥様の「家族で一緒に食事ができるだけで幸せ」の言葉に涙。

4.

夜は岩泉町のレストラン「縁樹」で、フレンズとスローフード岩手の大交流会が行われました。岩泉のみなさんのスピーチがどなたも素晴らしくて驚きました。中でもこのシゲばあこと坂本シゲさんは85歳ながら、「スローフードは…」と語ってくださいました。雄谷さんとすっかり意気投合です。
5. 岩泉にはお米の文化がありません。山がちな狭い土地でさまざまな雑穀を作って命をつないできました。そして、何とどんぐりを食べる文化もあるのです。これはどんぐり粉のだんご。少し乾いた感じの粉ですがおいしい。やはり食文化というのは、美味しいなどということではなく、命をつないでいくことなのだとあらためて感じました。
6. 2次会はコテージの和室を利用して行いました。岩泉のみなさん手作りのお料理を持ち寄ってくださって、車座になって語りました。シゲばあは「酒はもっきり」とコップになみなみついでくれました。最後は短角のポーズで記念撮影〜。
7. 翌日の朝は、自称松田聖子武田美江子さんの「麦けえ(大麦粥)」を囲炉裏を囲んでいただきました。泣けるほどのおいしさ…。そのあとは、安家地区の三好悦子さんのお宅に大勢でお邪魔して、安家大根や手作りおはぎをいただきました。この安家大根の鮮やかな色といったら!
8. その足で、今度はスローフード岩手の合砂会長宅を訪ね、短角牛の生産現場を見させていただきました。今年の正月は31日からの大雪が一晩で1m以上積もり、4日まで停電だったとのこと。若き跡継ぎ哲士さんの地域と共に逞しく生きていく覚悟、その力強い言葉に感動しました。

9.

スローフード岩手のメンバー嘉村明美さんの「嘉村旅館」で超豪華安家ランチをいただきました。クロカワ、コウダケなどの茸類、それにおそばと安家地大根のおろし、豆腐田楽、岩魚の塩焼き。どれもおいしかったのですが、80歳のおばあさんが40分かけて焼いたという岩魚に驚きました。焦げ目ひとつなく、それでいて骨まですべて食べられました。手業ですね。
10. 嘉村旅館からぶらぶら歩いて、玉澤雅子さんのところへ。お茶をいただきながら金蔵さんたちと楽しいひと時。惜しみながら岩泉を出発し、久慈市山形町の短角考房へ。昨日も参加してくれた佐々木透さん。短角への飽くなき愛を語ってくださいました。良い食材にはこういう良い職人が不可欠です。


岩泉町スローフード岩手、田野畑村のみなさま

茂木さん、塚原さん、田代さん、大石さん、手配から当日のご案内まで本当にお世話になりました。
そして、松田聖子(武田美江子)さん、伊達町長、坂本シゲさん、合砂会長、三好悦子さん、嘉村明美さん、佐々木透さんをはじめとする、スロ-フード岩手、岩泉の皆さん、また田野畑村の熊谷さん、吉塚さん、本当に本当にこの度はありがとうございました。

2月20日に岩泉を訪れてから、1ヶ月もたたない3月11日に、東北関東大震災が起きました。岩泉町は町の中心部が内陸であったために、他の沿岸部ほどの被害はなかったということですが、それでも多くの方が亡くなられ、余震などいまだ続いていると聞いて心配しています。

幸い、茂木さんや塚原さんからは「大丈夫ですよ」とメールやお電話をいただいて、ひと安心しているところではありますが、この旅でお会いした皆さんが、一日も早く安心して暮らせるよう、フレンズ一同心よりお祈りしております。

そして、またいつの日か、みなさまとともに笑顔で食卓を囲む日が一日も早く来ることを、今から心待ちにしております。

本当にありがとうございました。

2011年3月31日

 
撮影:山本敬介 ※写真の無断使用は固く禁じます。
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