東北関東大震災の被災地ルポ 文責:山本敬介 2011.4.10-11(福島〜宮城〜岩手)
4.
9.
津波による被害を受けている海沿いの集落は壊滅的でも、それ以外の山がちなところは、ほとんど被害を受けていません。海を見下ろす畑では、おばあさんが畑仕事をしていました。傍らでは梅の花がほころび始めていました。テレビの映像では壊滅的な場面ばかり報道されているので、東北がすべてダメになってしまったような錯覚に陥りがちですが、普通の暮らしはしっかりとありました。
14.
19.
東北関東大震災で被災された地域を訪ねて
東北関東大震災と津波で亡くなられた多くの方、そして被害を受けられたみなさまに心からお見舞い申しあげます。震災から1ヶ月以上経った4月13日現在でも福島第1原子力発電所の収束は見えていません。昨日、事故のレベルがチェルノブイリと同じ最悪の7に引き上げられました。放射能の環境への放出は現状ではチェルノブイリの10分の1程度といわれていますが、これからも引き続き放出が続きそうです。私たちは現場で作業している方々の無事を祈りながら、情報を注意して集め、自己防衛するしかありません。 人口が集中している都会のために、原子力発電で電力を作り送る、食料も同じように都会のために地方で生産されています。環境中のエネルギーは広い日本列島に分散されて存在しています。これらを効率よく使用して循環型の社会を作っていくためには、都市と地方の再編集が必要だと強く思います。人口1200人の村で暮らしている私は、この地にあるエネルギーをしっかりと使うためにももう少し若い方がいてほしいと願っていますし、都市で暮らしている人も地方での社会的役割が大きい暮らしは充実感があるのではないでしょうか。この震災そして原発事故を機に、我々は本気で考えて行動していくべきだと思うのです。 津波で被害を受けた廃墟の街に、私は不思議と希望を見ました。そこには、あいかわらず豊かな海が広がっていたからです。海の豊かさと津波は実は同じものです。きっと海と共に暮らしてきた人たちは、新しい関係を海と結んで生きていくでしょう。それに疑いはありません。しかし見えない放射能と共に暮らすことは不可能です。放射能の環境放出のほうが、刺激的な映像はありませんが遥かに重要なことなのです。メディアは津波の恐ろしさを繰り返し見せるのではなく、原発の本当の恐ろしさを追ってほしいと思います。 大好きな東北をこれからもたびたび訪ねようと思っています。支援だけではなく、楽しみとして。 2011年4月13日 山本敬介 *南三陸町は当初1万人の安否不明と発表していましたが、その後詳細が分かり、2011年6月22日現在で判明した人的被害は死者542人・行方不明者664人。