論説「つながりを学ぶ」4回シリーズ


4.「近自然」に学ぶ


山脇正俊氏

「人の豊かさと地球環境は両立できる」〜

 スイス在住の山脇正俊氏が提唱する「近自然学」の講演会。それまで、環境問題を考える時、人の豊かさは、あきらめなくてはいけない、と思ってきた。今これほどまでに豊かに贅沢に暮らしていることを止められるのか?(少しの不便だったら何とかなるか?・・・でも、不安だった)ところがそれが両立できるという。思わず身を乗り出した。

 「30年後、温暖化がこのまま進めば、真夏の時期、防御服を着なくては、外に出られないことになる」「30年後、石油エネルギーは枯渇する」公式データーを元に話が進んだ。「環境か経済か」という二者択一の議論はナンセンスに思える。このままでいいはずはない!地球の環境悪化がこのまま進めばどうなるか?不安に感じない人はいないだろう。日本人は、危機感が無いと言われる。車の運転と同様に、危機感をもつことで、ブレーキを踏みハンドルを切ることができる。「近自然学」では、・自然と人の調和/・必要な豊かさと不必要なムダを区別/・生活の質を高めることを目指す。そして、環境に配慮しながら豊かさを維持する。

 今までの豊かさは、「石油」を始めとした枯渇する資源やエネルギーの投入にたよっていた。それを、地球上無限にある「太陽」を始めとした再生エネルギーの利用に変える。太陽光・熱・風・地熱、そしてバイオマス(生物資源)の利用(今十勝で一部、研究・利用が始まっている)に。しかしこれらの利用も方向を間違えないようにしたいもの。北海道でよく見られる、海岸などの僻地に大型の風車を数多く並べて発電し、送電線によって街へ輸送することなどは、少し考える余地もある。どこでも吹く風の長所を活かした上手なやり方とは言えないし、何より我々が子どもたちへ受け継ぐべき美しいふるさとが台無しになるような気がする。トータルでものを見る目を養いたい。

 環境共生共存のためにもっとも重要なのは、「世界中の人がきれいな地球を子どもたちに残したい」と思うこと、本気になれるかどうか。それぞれのライフスタイルがあるが、心地良く生きること(人生の質を上げること)。その意識さえあれば、この十勝の恵まれた自然(太陽・森・水・大気・土)の中で「農」を育み「食」を分かち合う自立した社会が実現できると信じている。十勝が変われば、北海道が変わる、北海道が変われば日本が変わる。

 できる所から始めたい。例えば・アイドリングを止める/・どんなものでも余計なものは買わない(捨てるときのことを考える)/・買い物には手提げ袋を持っていく/・紙は裏側もメモ用紙としてリユースする/・人のいない部屋の照明、見てないテレビは消す/・少し暑ければ窓を開け、少し寒ければセーターを・・・などなど。

 こういう日常生活の実践が、意識改革になっていく。子どもたちに美しい地球を残すため、今から一緒に始めよう!

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