「八列とうもろこし」
スローフードフレンズ帯広


長くて美しい八列とうもろこし。列が八つしかないので細長いのです。
右は北海道で最大規模の八列とうもろこしを栽培している及川さん
道の駅三笠で8月中旬〜10月中旬まで焼いて販売しています。

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八列とうもろこしは、収穫から2日ほどで実が堅くなってきますので、鮮度が勝負です。
収穫時期の見極めも通常のコーンに比べてとても繊細です。
中央が清水町で生産している森田里絵さん。
右は芽室町で生産している川合拓男さんです。

八列とうもろこし
Hachiretsu(8-row) Corn
Mais Hachiretsu (ottofile)

名称:昔トウキビ「ロングフェロー」及び「札幌八行」を中心とする硬粒種トウモロコシ

英名: Longferrow(medium flint)

学名:z.m.indurata(の1種)
 明治から昭和の初期にかけて、北海道でもっとも多く栽培されたトウモロコシ。穂の長さは中くらい、粒列は八行、穂はやや円錐形で太く、茎部から頂部に近づくにつれて細くなり、茎部の粒の配列がやや乱れることが特徴。実は中粒楕円形で黄色(色の変異はある)。草丈は180cm内外、八月上旬に出穂し、10月上旬に成熟する。
 糖分は少ないが、かみしめたときのなんともいえないうまみがある。収穫後時聞が経つと甘みが落ちてしまうので市場流通向きではなく、昭和40年代に開発されたF1の甘味種のゴールデンクロスバンタムやハニーバンタム、ピーターコーンなどにかわっていった。

生産地域(伝統的に作られてきた地域):道北、道東の極寒地域を除く北海道内全域

市場での流通状況:市場では現在はほとんど流通していない。農家の直売所やインターネット産直で入手。

現在の生産量や生産者の数(種の状況)
 三笠市、岩見沢市などの空知南部で約5ha、芽室町、清水町などの十勝中西部で約1ha。その他、農家の自家菜園で細々と生産されている。また、一部種苗会社で、「黄八行ロングフェロー」という種子を家庭菜園向けに販売している。

播種:5月下旬〜、収穫:8月中旬から10月下旬

歴史的背景:
 明治23年頃、札幌農学校の教師アーサー・A・ブリガムがアメリカから初めて目本に導入したトウモロコシがロングフェロー。また、「ステフェンスワウシアカム」という名前で同様にアメリカから導入されたものが札幌八行。双方に似た特徴はあるが、遺伝的には同じものではないとされる。明治時代、目本でのトウモロコシの作付面積は5万ヘクタールほどあったとされ、そのほとんどがこの硬粒種だった。
 ロングフェローは、アメリカ大陸の先住民族が選抜して栽培してきたトウモロコシの系統を受け継ぐ貴重な在来種として、アメリカの農家でも保護活動が進められている。
 北海道のトウモロコシは、昭和に入ってからゴールデンクロスバンタム、ハニーバンタムなどのF1品種にとってかわられ、規在在来種は絶滅の危機に瀕している。この「ロングフェロー」と「札幌八行」は、農家が自家採取で守り続けている在来種のトウモロコシとして貴重な存在といえる。

伝統的な料理法、食べ方、文化との関連:
 ゆでるより、焼いて食べた方が香ばしくおいしい。焼き上がりに塩、もしくは醤油をかけながら焼く。北海道の夏の風物詩「札幌・大通り公園のトウキビ(トウモロコシの北海道呼び名)売り」もかつてはこの八列とうもろこしを使用していた。現在は、ピーターコーン等の甘味種に変わっているが、焼きキビとして特有の香りをもつ「昔トウキビ」を懐かしむ声は多い。
 石川啄木の詠んだ歌「しんとして幅廣き街の/秋の夜の/玉蜀黍の焼くるにほいよ」のモデルになった玉蜀黍(とうもろこし)とされる。
 乾燥してコチコチに硬くなったものを「どん菓子」(関東以西では「ぼん菓子」といわれる)の材料とした。また、粉に挽いて食べることもでき、開拓時代の道東では、トウモロコシ粥(かゆ)にして冬場をしのいだ。

問い合わせ先:
 北海道三笠市 及川農場 及川善志(よしゆき) 
  電話:0126-73-1727
 北海道清水町 森田農場 森田里絵
  電話:0156-63-2789
  Email:morita@azukilife.com
  HP:http://www.azukilife.com/index.html
  ブログ:http://blog.livedoor.jp/azukilife1/
 北海道芽室町 川合農場 川合拓男 
  電話:0155-65-2625
  Email:ta90@mx6.et.tiki.ne.jp



味の箱舟ツアー北海道2006/9/16-18 
「八列とうもろこしと短角牛の生産地を訪ねる旅」
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