第3回食卓を囲むプロジェクト 「山川八重子さんに習う豆腐作り」報告

【日 時】  2012年11月11日(日) 10時30分~16時 
【場 所】 札幌市北区民センター 2F料理室 
【参加者】  山川八重子、青木誠雄、阿部一恵、安藤忍、小野木朋子、嶋田直美、鈴木秀利、すずきもも、中本啓子、並川敏万、深江園子、松田真枝、宮脇かおり、村上岑子、吉田訓子(計15名) 
【参加費】 1,000円
   
(9時より数名で準備を開始。10時前に山川さんも見えて材料等確認。豆腐作りに使うにがりやこし布のほか、昼食用に調理してきてくださったピクルス液やだし汁、煮物に入れる野菜など、旭川から荷物をたくさん持って来てくださった)

10:30
・はじめの言葉(すずきももさん)
・山川八重子さんのご紹介(青木さん)
・本日の流れの説明(吉田)

10:45
・豆腐作りを習う スタート 
  始めに山川さんから、今日皆さんに会えるのをとても楽しみにして来たことや、 豆腐作りの機材などがそろっていない所で作るのは初めてであること、昼食を同時進行するのも初めてであるとのお話があり、みんなで協力して頑張ることになった。

大豆は山川さんの大豆で、先に送ってもらい前日から24時間浸漬した。まずミキサーにかけるところから見本を行ってもらい、すぐに皆で取りかかる。目指す滑らかな「生呉」になるまで何度も山川さんに聞く。「みんなのベロメーターで確認してね!」 と山川さん。指と舌で細かさを覚えてボウルに移していく。一方でそこから離れ、すり鉢とすりこ木で懸命に大豆をすりつぶしているのは青木さんと鈴木さん…昼食のおいしい呉汁を作るためであった。

山川さんに聞くと、豆腐の呉も本当はすりつぶすもので、今日のようにミキサーだと刃で切って細かくすることになるので、本当は異なるものということであった。
  どの作業も皆で代わる代わる行っていき、少し手が空くと別の台へ昼食用の野菜を切りに行ったり、山川さんも味付けを教えに来てくれたりして、昼食作りも同時進行していった。 白く滑らかな生呉ができて、沸騰した湯にのせていくとふわふわと浮き、湯の対流に合わせてそれを木べらで優しくなでるように混ぜる。だんだんと火が通って、生の大豆の匂いから変化し、おいしい匂いが部屋いっぱいに広がった。こす作業は「1番ごし」「2番ごし」とこし布を変えて、2回こす。おからも2種類でき、それぞれを使って宮脇さんを中心におからスコーンが作られていった。またおからを加えるばかりまで調理された鍋にも加わって、また1品とおかずも出来上がっていく。できたての白いおから2種類を試食し、あったかい豆乳も飲むことができ、その優しいおいしさを皆で味わった。

  豆乳が熱いうちに薄めたにがりを加えて、木べらで直線を描きながら切るようにそっと混ぜ、保温のために蓋をする。様子を見て2回目のにがりを加え、蓋をして固まるのを待つ。固まった部分と水分が分かれる見極めを教えてもらい、牛乳パックの型に入れる。みんなが体験したら、あとは大きなざる豆腐にする。重しをしている間に、昼食の準備が進む。豆腐もできてきたようだとつまみ食い…その豆腐がうまみがあって、とってもおいしかった。こうして、みなさんの協力のおかげで、予定より30分程も早くごはんが食べられることになった。

12:30
昼食のメニュー ≪山川さんのななつぼしのご飯、呉汁(ねぎ入り)、豆腐(薬味はねぎと生姜)、2色の大豆の煮物、おからの煮物、3色の大豆のピクルス、山川さんの福神漬け、嶋田さんのお漬物、おからスコーン、嶋田さんの持って来てくれたりんご≫

  豆腐は山川さんに食べ方を聞いた。まず始めはそのまま食べてみる、次に塩で食べる、最後に薬味をのせて醤油で食べる。豆腐はたくさんできて、とてもおいしくてみんなで何度もおかわりをした。山川さんのお米もおいしい。おかずもそれぞれ大豆が使われているが、大豆の茹で加減に
よる食感の違いや、大豆の色の違い、そして味付けの変化まで山川さんが心を配ってくださったことと、みんなの力も合わさったことでとても豊かな食卓となった。
  ご飯を食べ終わった後も、おからスコーンとりんごと紅茶をゆっくり味わった。宮脇さんがおからスコーンのレシピも用意してくれた。今日食べたものをもう一度作りたいと、きっとみんなが感じた時間だった。
     
14:00
山川さんからのお話  (聞き手:ももさん)
 まずは、豆腐作りが成功してよかった。工房以外の場所で豆腐を作ったことがなかったので。豆の立場からすると、ニコニコして食べて欲しいと思っていると思う。なので、食べる人もそんなことを考えて食べて欲しいと思う。

<加工を始めたきっかけ>
 旭川にお嫁に来たS44,45年あたりに減反政策が始まった。収入確保のため、ビート、麦、ソバを作り、ある年から大豆を始めた。水田という環境で試行錯誤し、その当時2俵くらいしか取れなかった。そんな時、味噌に加工すると手間いらずでコストがかからないと聞いてやってみた。

<豆腐に挑戦したきっかけ>
 当時、農産加工施設が地区ごとにでき、普及所の指導で豆腐を作っていた。H7年から都市の人たちの受け入れをしていたのだけど、その人たちに食べさせていたら、「これなら買うよ」という言葉に背中を押された。美味しいものをおすそ分けしたいな、という気持ちで、やると決めたら何も怖くなかった。そして、「豆腐作りがしたい」と周りに言うようになったらどんどん情報が入ってきた。ちょうど、農村女性を支援する道の新規事業が立ち上がったときで、加工場を作るのに1/2補助が受けられた。

 家族が一番反対した。結局は家族を説得し、資金は夫に借りH10年に施設ができた。経営を大きくしようと思ったことはない。あくまでも、米作から軸足をずらすことはない。毎週土曜日、1回に120丁(600gで200円)は、100%リピーターの方が買っていく。はじめはチラシもなく、口コミだけだった。あるとき、娘が大学生の頃の友達が泊まりに来て、泊まったお礼にとチラシを書いてくれた。
7割は当時からのお客さん。新しいお客さんも来るが、口に合う人が残っていったのだと思う。スーパーや、イベントからの誘いもあったが、全部断った。身の丈に合わないことはしないと決めている。今いるお客さんのために、豆腐を作っている。600gの豆腐を作るのに、大豆代が30~40円、その他の材料を足すと80~90円になる。スーパーの安売り豆腐は、安い原料を皮まで粉末にして豆腐にして歩留まりを上げている。

<漬物について>
 まだまだ極めていない。漬物講座の講師として呼ばれることもあるが、自分よりも先輩が多いこともある。その時は、その人たちに教えてくださいとお願いする。漬物は、時代によって新しい味が出てくる。この間、85歳のおばあちゃんにピクルスを教えたとき、「若い人の味がするわ」と言われた。「若い人の味」という表現は、決して否定しない、受け入れる姿勢がとてもいいと感じた。

<これからやりたいこと>
  この年齢になると、やるべき役割が、新しいことを生み出すよりも農業を通じて色々伝えていきたいと思うようになった。いま、栄養士を養成する短大の農業体験を受け入れている。11年目を迎え、今やっとその成果が見えてきた。すぐに何かが変わるわけではないが、経験してその人の中に宿すことがあると思うので、これからも続けていきたい。

15:00 
「イン・ケ・センソ?」の時間
①短い時間になってしまったが、深江さんとももさんからイタリアのお話をしていただいた
②大豆を味わう
 煎り大豆を題材に、見て、触って、聞いて、嗅いで、食べて感じたことを記入、また同じことを自分の記憶と結びつけたときにどのように感じたかを別に記入したのち、2種類の感じたことを、順番に全員が発表した。(進行としては反省もあるが、)それぞれの感じ方の面白さや食べ物からうまれる言葉の表現がいろいろあること、その表現の背景などを想像し共感して、大豆一粒からの広がりを楽しんだ。

15:50
一人一言の時間

16:10
終了


カテゴリー: 活動日記
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