『共生命』

久しぶりの更新です。
アツイ時期になりましたね。
心も身体もフルに使いながら過しています。(使いすぎに気をつけながら・・・)

ミュージシャンでもあり、農薬化学肥料を使わない農業を営んでいる友人の宇井ひろしさんのブログを、許可を得てご紹介します。
農業日誌:共生命~ FM WING出演

以下転載)

「共生命~FMウイングに生出演」農場日誌より 宇井ひろし

昨日11時、人参草取りをひとまず置いて電話機前に待機。
帯広のラジオ局FM ウイングの番組に生出演するためです。

インタビュアーは事前にいくつかの質問を送ってくれていたので
心の準備はできました。

最初に私の作詞作曲「つるばら」を流してくれました。
今の季節にぴったりでした。

そしてはじめに、チェルノブイリのかけはしプロジェクトの支援により
1993年に2人、多い時に4人のベラルーシ共和国からの
被災児を保養のため1ヶ月預かった話をしました。

帯広に到着してすぐ十勝の3家族に子ども達はそれぞれ振り分けられ
うちには7歳のイーゴリ、9歳のセルゲイが来ました。
付き添いや通訳はなし、二人にとっては未知の世界でさぞ緊張していたでしょう。
でもうちには同世代のガキンチョが3人もいたので全然心配はしていませんでした。
多いときにはセルゲイの双子の女の子マリナとアリョーナも加わり
「やかまし村の子ども達」状態の夏休みでした。

セルゲイとマリナ、アリョーナのその後の消息はわかりません。
気になったのはセルゲイが年齢に対してとても小さかったことでした。
元気でいてくれることを祈っています。

イーゴリはその10年後お母さんと年の離れた弟と共に我が家を訪ねてくれて
夕食を共にしました。
腕白だったイーゴリもすっかりいいお兄ちゃんになっていてそのときも
ボランティアとして小さい子の保養を助けるために来ていました。
その夜高校生だった次男がサッカーウエアを記念にとプレゼントすると
とても喜んでいました。
元気でいてくれたことがとても嬉しかったです。

そしてインタビューは泊原発廃炉訴訟の原告の一人として
(600人以上いる)の思いについてとなり
先日のユーモアあふれる小野有五教授の講演により
日本が4つのプレートはひしめきあう世界で最も地震の起こる場所であり
そんな場所に原発があること自体大変危険だということがよくわかったということを話しました。

すみやかに停止させ廃炉に向かわせること。
(でも実はまだ一旦動かされた原発で廃炉ができたものは世界にひとつもなく
安全に廃炉ができるかさえ未知の状態だそうです。)

約1時間弱の番組でしたが最後はややたたみかける口調になりましたが
言いたかったこと。

反原発とか脱原発ということばがありますが、
毎日草や土や作物に触れ大地の恩恵に囲まれていると
そんなことばより前に、これは振り絞った末に出たことばですが、
「共生命」生命に共感し、共に生きていることを自覚すること、
そんな思いが先にあり、とりわけ子ども達の命は守られねばならない、
そう思います。

農家として、飯館村に代表されるように畑や田んぼがもう耕作できない
ということは断腸の思いです。
事故の後、土を深くひっくり返せばいいなどとテレビで言っていましたが
全く何もわかっていないなと感じました。
放射性物質は埋めればいい?とんでもない話です。
そして表土は農家にとって命です。
はぎとるとか聞くたびに自分の皮膚がはぎとられる思いがします。

そういった意味での「共生命」
はじめて人前で話しましたが、そういう感覚は本来誰にでも備わって
いると思います。
ただ「忘れている」だけ。
だからこんな事態が起きていても平気でいられる。
平気で再稼働させられるどころか海外に売り込んだりできる。

忘れてしまっている私たちの同じ生命体としてすべてを眺め
感じる感覚こそ思い起こし息を吹き返せるように多くの仲間達と
力を合わせて行きたいと思います。

以上、ラジオで話したことに補足して書いてみました。
さいごにこういう原発というテーマを臆せずに取り上げ、
一介の百姓に好きなように話すことを許してくれたFM WINGの
度量の大きさに敬意を表します。
マスコミが失っている市民のためにあるという使命をこの小さな
ラジオ局は果たしてくれています。
これからも市民に寄り添ったメディアとしてのご活躍を期待しています。

            


カテゴリー: 優子のいろいろノート
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